フェンダーのギターって、だいたいこんなイメージがありますよね。
ストラトなら、シャキッとしたシングルコイルの音。
テレキャスなら、ジャキッと抜けてくるあの感じ。
ジャズマスターやジャガーなら、ちょっとクセのあるオフセットボディから出るパリっとした音。
いわゆる「フェンダーらしさ」というものが、なんとなくあります。
でも、今回取り上げるFender Toronadoは、そのイメージから少し外れたところにいるギターです。
フェンダーなのに、24.75インチスケール。2ハムバッカー。2ボリューム・2トーン。
スペックだけ見ると、どちらかというとレスポールやSGに近い雰囲気があります。
では、このFender Toronadoは、レスポール好きが買うべきフェンダーなのでしょうか。
結論から言うと、レスポールの代わりとして買うギターではないと思います。
ただし、レスポールやSGが好きな人が、
「もう少し違うギターが欲しい」
「普通のストラトやテレキャスではなく、変化球のフェンダーが欲しい」
「ハムバッカーで太い音が出せるフェンダーが気になる」
と思っているなら、かなり面白い選択肢です。
今回は、Fender Toronadoがどんなギターなのか、なぜレスポール好きに刺さりそうなのか、逆にどんな人には合わないのかを整理していきます。
この記事の目次
- 1 Fender Toronadoってどんなギター?
- 2 まず注意。Fender ToronadoとSquier Paranormal Toronadoは分けて考えたい
- 3 なぜレスポール好きがToronadoを気にしてしまうのか
- 4 でも、Toronadoはレスポールの代替にはできないと思った
- 5 Toronadoとレスポールを比べるとどう違う?
- 6 Fender Toronadoを弾いてみた
- 7 Toronadoが向いている人
- 8 Toronadoが向いていない人
- 9 中古でFender Toronadoを買うなら注意したいこと
- 10 Squier Paranormal Toronadoはどうなのか
- 11 結論:Toronadoはレスポール好きが買うべきフェンダーなのか
Fender Toronadoってどんなギター?

Fender Toronadoは、1998年に登場したフェンダーのオフセット系ギターです。
見た目は、なんとなくジャズマスターやジャガーの流れを感じる形をしています。
ただ、中身はかなり特殊です。
主な特徴はこんな感じです。
- 24.75インチスケール
- ハムバッカー2基
- 2ボリューム・2トーン
- 3wayトグルスイッチ
- ボルトオンネック
- アルダーボディ
- メイプルネック
- ローズウッド指板
この中で一番大きいのは、やっぱり24.75インチスケールだと思います。
一般的なストラトやテレキャスは25.5インチスケールです。
それに対して、ToronadoはレスポールやSGなどに近い24.75インチスケール。
つまり、ここだけ見るとフェンダーなのに、弦の張り感やチョーキングの感覚は、ギブソン系に近い方向なんです。
実際に私もギブソンも所持してますが、確かになんとなくFenderとは違う感覚があります。
もちろん、弦の太さやセッティングによって弾き心地は変わります。
ただ、ストラトのテンション感がちょっと硬く感じる人にとっては、Toronadoのスケール感はかなり魅力的だと思います。
しかも、ピックアップはシングルコイルではなくハムバッカー。
この時点で、普通のフェンダーとはだいぶ違います。
ざっくり言うなら、Fender Toronadoは、
フェンダーの形をした、ギブソン寄りの要素を持つ変化球ギター
という感じです。
かなり面白く魅力的なギターです。
まず注意。Fender ToronadoとSquier Paranormal Toronadoは分けて考えたい

Toronadoについて調べていると、Squier Paranormal Toronadoの情報も出てきます。
ここが少しややこしいところです。
今回の記事でメインにしているのは、あくまでFender Toronadoです。
特に、1998年ごろから展開されていたFender Deluxe Series Toronadoのことを中心に記事していきます。
まず、Fender版Toronadoは、基本的にアルダーボディです。
一方で、後年登場したSquier Paranormal Toronadoはポプラボディです。
ざっくり整理すると、こうです。
| モデル | 立ち位置 | ボディ材 |
|---|---|---|
| Fender Deluxe Series Toronado | 本家Fender版 | アルダー |
| Squier Paranormal Toronado | 後年のSquier版 | ポプラ |
どちらが良い悪いという話ではありません。
この記事では、基本的にはFender Toronadoの話として進めます。
Squier Paranormal Toronadoについては、後半で「手頃にToronado系を試す選択肢」として少し触れます。
なぜレスポール好きがToronadoを気にしてしまうのか
レスポールやSGが好きな人にとって、Toronadoはちょっと気になるギターだと思います。
理由はシンプルで、さっき書いた通りフェンダーなのに、ギブソン好きが理解しやすい要素を持っているからです。
24.75インチスケールが大きい
レスポールやSGに慣れている人がストラトを弾くと、弦の張りが少し強く感じることがあります。
もちろん、それがフェンダーらしい気持ちよさでもあります。
カッティングしたときの張り感、ピッキングしたときの反応、音の立ち上がり。
私もそれが好きでFenderのストラトとテレキャスも所持してます。
ただ、レスポールやSGに慣れていると
「ストラトってちょっと硬いな」
「チョーキングが少し重く感じるな」
「もう少し柔らかい弾き心地が好きだな」
と思うこともあります。
その点、Toronadoは24.75インチスケールです。
ここはフェンダーとしては異質で、ギブソンに弾き慣れてると結構しっくりくる感じがあります。
2ハムバッカーという安心感

フェンダーのシングルコイルは魅力的です。
ただ、レスポールと比較すると特に歪ませたときに、
「もう少し太さが欲しい」
「リアの痛さが気になる」
「中域の押し出しが欲しい」
と思う人はいると思います。
Toronadoは2ハムバッカーなので、そういう不満が出にくいかも、と選択肢になると思います。
この「フェンダーなのに2ハムバッカー」というところが、Toronadoのかなり大きな魅力です。
2ボリューム・2トーンもレスポール好きには分かりやすい
Toronadoは、2ボリューム・2トーン構成です。
これもレスポール好きには馴染みやすいポイントです。
ハムバッカーが2機搭載されている、というだけだと実は現行Fenderでもちょこちょこあります。
でも、例えば下記のように
フロントとリアで音量を分ける。
片方のトーンだけ絞る。
センターポジションで混ぜる。
こういう使い方ができる2ボリューム・2トーン構成は意外と珍しいです。
ストラトやテレキャスのように、1つのボリュームで全体を操作する感覚とは違います。
ギターって、音や弾きやすさだけではなくコントロール部の操作感も意外と大事なんですよね。
いつもの感覚でボリュームやトーンを触れるかどうか。
これだけで、弾いているときの安心感が変わります。
Toronadoはその点でも、レスポール好きが入りやすいフェンダーだと思います。
でも、Toronadoはレスポールの代替にはできないと思った

Toronadoには、レスポール好きが気になる要素がたくさんあります。
24.75インチスケール。
2ハムバッカー。
2ボリューム・2トーン。
太めの音を狙いやすい仕様。
ギブソンを弾いてきたら入りやすいフェンダーのギターであることは間違いではないです。
でもToronadoはレスポールの代替にはできないと感じてます。
まず、ネックジョイントが違います。
レスポールは基本的にセットネック。
Toronadoはボルトオンネックです。
この違いは、音の立ち上がりやアタック感に出ると思います。
レスポールのような、どっしりした粘りや重厚感を期待して買うと、少し違うかもしれません。
それから、ボディの形も違います。
レスポールはシングルカットの王道デザイン。
Toronadoはオフセットボディ。いわゆるジャズマスターやジャガー的な感じで、ちょっと変化球です。
見た目の印象も、抱えたときの感じも違います。
なので、Toronadoを買うときに、
「フェンダー版レスポールが欲しい」
と思いすぎると、少しズレる可能性があります。
Toronadoは、レスポールの代用品というより、
レスポール的な要素を持った、フェンダーの変なギターとして考えるといいと思います。
そして、その“変さ”を楽しめるかどうかが、このギターの一番大事なポイントだと思います。
Toronadoとレスポールを比べるとどう違う?
ざっくり比べると、こんな感じです。
| 項目 | Fender Toronado | Gibson Les Paulのよくあるスペック |
|---|---|---|
| スケール | 24.75インチ | 24.75インチ |
| ピックアップ | 2ハムバッカー | 2ハムバッカー |
| コントロール | 2Vol / 2Tone | 2Vol / 2Tone |
| ネックジョイント | ボルトオン | セットネック |
| ボディ形状 | オフセット | シングルカット |
| ボディ材 | アルダー系 | マホガニー |
| 立ち位置 | フェンダーの変化球 | 王道ロックギター |
| 流通量 | 少ない | 多い |
| 情報量 | 少ない | 多い |
こうして見ると、スペックだけならかなり近い部分があります。
でも、実際のキャラクターは別物です。
レスポールは、良くも悪くも王道です。
太い音、重厚感、ロックギターとしての説得力。
そこに強さがあります。
一方、Toronadoは王道ではありません。
フェンダーの中でも少し外れたところにいて、レスポールにもなりきらない。
でも、そこが面白いんです。
「普通のフェンダーでもない」
「普通のレスポールでもない」
この中途半端さを、弱点と見るか、魅力と見るか。
Toronadoはそこが分かれ道だと思います。
Fender Toronadoを弾いてみた
Toronadoが向いている人
Toronadoが向いているのは、こういう人です。
普通のフェンダーでは物足りない人
ストラトやテレキャス、ジャズマスターやジャガーは好きだけど、もう少し太い音が欲しい。
そういう人には、Toronadoはかなり面白いと思います。
フェンダーらしいオフセット感がありつつ、ハムバッカーで、24.75インチスケール。
普通のフェンダーとは違う立ち位置にいます。
「ちょっと変わったフェンダーが欲しい」
という人には、かなり刺さるはずです。
レスポールは好きだけど、王道すぎると感じる人
レスポールはかっこいいです。
でも、あまりにも王道です。
ギターを何本か持っていると、
「レスポールの音は好きだけど、またレスポールを買うのもなあ」
と思うことがあります。
そういうとき、Toronadoは良い寄り道になります。
ハムバッカーの太さがあり、スケール感も近い。
でも、見た目はフェンダーのオフセット系。
レスポールではないけれど、レスポール好きが理解しやすい。
この距離感がちょうどいいです。
SGやレスポールからフェンダーに行きたい人
普段Gibson系を弾いている人が、いきなりストラトやテレキャスに行くと、結構別世界です。
弦の張り。
ピックアップの出力。
音の細さ。
ボリュームやトーンの操作感。
もちろん、それがフェンダーの魅力でもあります。
ただ、急にそこへ行くと、少し戸惑う人もいると思います。
Toronadoは、Gibson系からフェンダーに寄っていく中間地点のようなギターです。
完全なフェンダー入門ではありません。
でも、レスポールやSGが好きな人がフェンダーに寄り道するなら、かなり面白い場所にいると思います。
人と違うギターが欲しい人
これはかなり大きいです。
Toronadoは、ストラトやテレキャスのように誰でも知っているモデルではありません。
ギター好きでも、
「あれ、これ何?」
となることがあるギターです。
人と違うギターが欲しい人には、この時点でかなり魅力があります。
それでいて、ただの変わり種ではなく、ちゃんと実用的な仕様を持っている。
そこがToronadoの良いところです。
変なだけじゃないけど普通でもない、ちょっとしたイレギュラーな感じ。
このバランスが好きな人には、かなりハマると思います。
Toronadoが向いていない人
逆に、Toronadoをおすすめしにくい人もいます。
フェンダーらしいシングルコイルサウンドが欲しい人
これは素直に、ストラト、テレキャス、ジャズマスター、ジャガーを選んだ方がいいです。
Toronadoはフェンダーですが、音の方向性は一般的なフェンダー像とは違います。
フェンダーらしい鈴鳴り。
ストラトのハーフトーン。
テレキャスのジャキッとしたリア。
ジャズマスターの独特な広がり。
こういうものを求めるなら、Toronadoではないと思います。
Toronadoは、フェンダーらしい音を求めて買うギターというより、
フェンダーの中の変化球を楽しむギターです。
初心者の最初の1本を探している人
初心者の最初の1本としてToronadoをおすすめするかと言われると、少し悩みます。
もちろん、見た目に惚れたならアリです。
ギターは見た目も大事です。
気に入ったギターの方が、手に取る回数は増えます。
ただ、無難さで言えば、Toronadoは最初の1本向きではないと思います。
理由は、情報量と流通量です。
ストラト、テレキャス、レスポール、SGのような定番モデルに比べると、Toronadoは情報が少ないです。
中古で買う場合も、相場判断やモデル判別が少し難しくなります。
最初の1本として安心して選ぶなら、Squierのストラト、Yamaha PACIFICA、Epiphone Les Paul、Epiphone SGあたりの方が分かりやすいです。
Toronadoは、どちらかというと2本目以降の変化球としておすすめしたいギターです。
リセールを重視する人
Toronadoはマニアックなモデルです。
好きな人には刺さります。
ただ、誰にでも売りやすいギターではありません。
ストラト、テレキャス、レスポールのように、常に探している人が多いモデルとは少し違います。
中古相場も、個体数が少ないぶん読みづらいです。
そもそも中古が市場にないんですよねこのギター。
実際、オークションでも価格は割とバラバラ。
楽器屋さんによっては10万以上で販売してるケースもあれば、意外と安く売られてるケースもあります。
なので、リセール重視で買うギターではないと思います。
Toronadoは、「売るとき高いか」ではなく、「この変な立ち位置を自分が楽しめるか」が結構大事になってくるなと思います。
中古でFender Toronadoを買うなら注意したいこと

Fender Toronadoを中古で探す場合、勢いだけで買うのは少し怖いです。
流通量が多いギターではないので、見つけるとつい欲しくなります。
でも、珍しいからといって、状態が良いとは限りません。
見るべきポイントを整理しておきます。
改造個体かどうかを見る

Toronadoはマニアックなギターなので、改造されている個体もありそうです。
特に見たいのはこのあたりです。
- ピックアップ交換
- 配線変更
- ポット交換
- ブリッジ交換
- ペグ交換
- ナット交換
改造自体が悪いわけではありません。
むしろ、良いパーツに交換されているなら魅力になることもあります。
ただし、オリジナル状態を重視するなら、改造の有無はかなり大事です。
価格が高めの場合は、純正パーツが残っているかも確認したいところです。
ネック状態とフレット残量は必ず見たい
中古ギター全般に言えることですが、Toronadoでもネック状態とフレット残量はかなり大事です。
特に確認したいのは、
- ネックの反り
- トラスロッドの余裕
- フレットの減り
- ビビりや音詰まり
- ナットの状態
- 電装系のガリ
このあたりです。
珍しいモデルは、買ったあとに修理が必要になったとき、パーツや情報を探すのが少し面倒なことがあります。
安く買えたとしても、調整や修理でお金がかかると、結局高くつくこともあります。
価格だけで飛びつかない
Toronadoは流通量が少ないので、相場が読みづらいギターです。
たまたま見つけると、
「次いつ出てくるか分からないし、買っておくか」
となりがちです。
これはすごく分かります。
でも、珍しいことと状態が良いことは別です。
中古で買うなら、
- 年式
- 改造の有無
- ネック状態
- フレット残量
- 電装系の状態
- 重量
- 付属品
- 修理歴
このあたりを見てから判断した方がいいです。
特にネット購入の場合は、写真だけで判断しない方が安心です。
分からない部分は、出品者や楽器店に確認した方がいいと思います。
Squier Paranormal Toronadoはどうなのか
ここまでFender Toronadoを中心に書いてきました。
ただ、実際にToronado系を探すと、Squier Paranormal Toronadoも候補に入ってくると思います。
Squier Paranormal Toronadoは、Toronadoの雰囲気を手頃な価格で楽しめるモデルです。
24.75インチスケール、2ハムバッカー、2ボリューム・2トーンという方向性は、Toronadoらしさをしっかり持っています。
ただし、これはあくまでSquier版のToronadoです。
Fender Deluxe Series Toronadoと同じものとして見るより、
Toronadoというコンセプトを手頃に試せるモデル
として考えた方がいいと思います。
結論:Toronadoはレスポール好きが買うべきフェンダーなのか
最後に結論です。
Fender Toronadoは、レスポールそのものを求める人が買うギターではありません。
レスポールの音、見た目、重厚感、王道感が欲しいなら、素直にレスポールを買った方が満足しやすいと思います。
ただし、
「レスポールは好きだけど、もう少し違うものが欲しい」
「普通のフェンダーではなく、変化球のフェンダーが欲しい」
「シングルコイルではなく、ハムバッカーの太さが欲しい」
「ストラトやテレキャスとは違うフェンダーを弾いてみたい」
「人と少し違うギターを持ちたい」
という人には、Toronadoはかなり面白い選択肢です。
個人的には、Toronadoはレスポール好きが“次に寄り道するフェンダー”として見るのが一番しっくりきます。
最初の1本として無難なギターではありません。
リセール重視で選ぶギターでもありません。
レスポールの代用品として買うギターでもありません。
でも、ギターを何本か弾いてきて、
「普通のフェンダーでも、普通のレスポールでもないものが欲しい」
と思ったとき、Toronadoはかなり良い場所にいます。
フェンダーなのに、どこかギブソンっぽい。
でも、ギブソンではない。
その中途半端さこそが、Toronadoの魅力だと思います。